【品川】日々の喧騒から避難するサウナ「リラクシーオアシス東京」

定時で仕事を切り上げた大塚誠也は品川にあるサウナ施設「リラクシーオアシス東京」へと向かった。

レビューサイトに投稿されていた「星空の幻想、炎の熱さ、緑に囲まれた安らぎ。極寒水風呂後の薬草風呂が至福」とは一体どんなサウナなのだろう？

この小説の登場人物

名前 / Name 　
大塚 誠也 Otsuka Seiya　　
自己紹介 / Profile
仕事おわりにサウナに通うのが日課の30歳のサラリーマン。
お酒よりも入浴後のサウナドリンクとサ飯が大好物。

ととのい日記

東京の喧騒を抜け、品川駅で降り立った大塚誠也は、オフィス街の硬質な空気とは一線を画す一時の安息を求めていた。サラリーマンの制服であるスーツの襟を緩めながら、彼は駅前のバス停に向かった。リラクシーオアシス東京へと続くシャトルバスは、彼の期待を胸に秘めた乗客たちを積んで、都会の喧噪から徐々に離れていった。

窓の外に広がる街の風景が徐々に住宅街へと変わるにつれ、誠也の心も解き放たれていく。バスの車窓に映る夕焼けは、仕事の疲れをやわらげる温かな色彩をしていた。10分という短い旅だったが、彼にとっては日常から離れる貴重なトランジションタイムだった。

やがて、目的地のシャトルバス停に到着すると、誠也は深呼吸を一つ。バスから降り立つと、ほのかに木の香りが漂う。リラクシーオアシス東京のエントランスに立つと、彼の顔にはもう仕事の影はなかった。

入店・料金プラン

施設のガラス張りの扉を押し開けると、柔らかい照明と木の温もりが誠也を迎え入れた。受付の壁面には、水の流れる音を模したアートが飾られ、心地よい自然の音が耳を潤した。レセプションカウンターには、和やかな笑顔のスタッフが立ち、誠也を一礼で迎えた。

「いらっしゃいませ、リラクシーオアシス東京へようこそ。本日はどのプランでご利用されますか？」

彼女の声は、まるで温泉宿の仲居さんのように穏やかで、誠也は思わずほっと息をついた。スタッフは料金プランの説明を始めた。

「スタンダードプランは3時間のご利用で、追加料金で延長も可能です。プレミアムプランは6時間までと、ロウリュ・アウフグース体験が含まれております。そして、ナイトパックは夜間限定で時間無制限、ご都合のよい時間までご利用いただけますよ。」

誠也は目を通すフィンランド風のパンフレットのページをめくりながら、彼女の丁寧な説明に耳を傾けた。会社のストレスを思い切りサウナで汗とともに流したい一心で、彼は思い切ってプレミアムプランを選んだ。

「では、プレミアムプランでお願いします。」

受付のスタッフはにこやかに頷き、誠也の選択を賞賛するかのように「プレミアムプラン、大変おすすめですよ。本日はごゆっくりお過ごしいただけると思います」と応じた。

支払いを済ませると、彼は電子リストバンドを受け取った。これが鍵と財布を兼ねる便利なアイテムだ。リストバンドに触れながら、彼の心は早くもサウナの暖かさ、水風呂の清涼感、そして外気浴の爽快感を思い描いていた。

「ロッカーはこちらの番号になります。館内着は、お好きな色をお選びいただけますよ。」

誠也は深く頷き、新しい経験に心躍らせながらロッカールームへと向かった。

サウナ室

誠也はまず「太陽の間」の扉を開けた。重厚な木の扉が音もなく動き、中からは柔らかなBGMが漏れ聞こえた。足元には暖かい木の床が広がり、壁はぬくもりを放つ天然木で覆われていた。空気には木の香りが混じり、それだけで心が落ち着く。彼は熱波を全身で感じながら、空いているベンチを探して腰を下ろした。

90℃の室温は肌を刺すようでありながら、湿度が低いため息苦しさはない。心地よいBGMは、鼓動を穏やかにして、熱気をより深く感じさせる。数分経つと、彼の額から小さな滴が生まれ、やがて頬を伝い落ちた。ロウリュの時間だと告げる静かなアナウンスと共に、スタッフが熱水を投じた。ハーブの香りが充満し、熱波が誠也の体を包む。汗がほとばしる感覚は、まるで体内の毒素が洗い流されるようだった。

次に彼は「星空の間」へ移った。80℃と少し温度が低めだが、星空を模した天井アートには息を呑んだ。まるで宇宙に浮かんでいるような錯覚に陥るほど、星々が煌めいていた。テレビは静かに映像を流しているが、音はなく、他の入浴者たちも無言で星空の美しさに見入っていた。この静寂の中で、誠也は自分を見つめ直す時間を持った。

「炎の間」に入ると、そこはまさに本格派。100℃の熱気が体を圧倒し、一瞬息が詰まりそうになったが、心地よいBGMが彼を落ち着かせた。力強い熱さが彼の体を包み込み、サウナが好きな彼でさえも、この熱波の強さには驚いた。ロウリュとアウフグースのセッションは、その日の疲れをすべて忘れさせるほどの充実感を彼に与えた。

最後の「緑風の間」では、75℃と低めの室温と高湿度が霧のような空気を作り出していた。壁一面に広がる植物は、まるで森林の中にいるような錯覚を与え、リラックスできる環境がそこにはあった。テレビからは自然の映像が流れ、都会の喧騒を忘れさせる。

サウナの熱と水風呂の冷たさ、そして外気浴の爽快感。誠也はこの三位一体のリズムで、日々のストレスを忘れ、自分を取り戻していく。

水風呂

サウナの熱から解放されたいという思いで、誠也は「澄水の池」へ足を向けた。体から湯気が立ち上りながら、彼はゆっくりとその冷水に身を委ねた。16℃の水温は、最初は小さな衝撃として体を打つが、すぐに清涼感へと変わった。水風呂は天井が開いており、自然光が水面に煌めきを投げかけていた。バイブラが心地よい振動を水に与え、彼の肌を優しく撫でた。

次いで「寒泉の穴」に挑戦する。足を踏み入れると、12℃の水温がまるで冬の海のように彼の体を包み込む。その冷たさは瞬く間に全身の熱を奪い、刺激が強烈ながらもどこか清々しい。深さ1.5mの穴に沈みながら、熱さで拡張した毛細血管が締まるのを実感する。極寒の水は彼の心臓を跳ねさせ、鮮烈な目覚めを与えた。

最後に「月光の浴槽」で、ゆったりとしたリフレッシュタイムを楽しんだ。18℃の水温は、他の二つに比べればやさしい冷たさだ。この水風呂の周りは、夜空を思わせるライトで装飾されており、月明かりを浴びながらの冷水浴は、疲れた心を静かに癒やしてくれた。バイブラの波紋が、ゆるやかに彼の意識を揺らし、緊張がほどけていくのを感じた。

サウナの灼熱とは対照的な水風呂の世界。誠也はその繰り返しの中で、自己の再生を見出し、日常の活力を蓄えていった。この水の記憶が、また彼をサウナへと引き寄せることだろう。

外気浴スペース

蒸れた空気を抜け、誠也は外気浴スペースへと足を踏み入れた。サウナの灼熱から一転、肌に心地よい風が触れる。彼の視線は、様々な椅子が置かれた静かな庭園に留まった。まずはリクライニングチェアに身を預ける。10脚のチェアはすでにいくつかが埋まっており、同じくサウナを愛する者たちが静かに休息をとっていた。

深呼吸をすると、木製ベンチが並ぶスペースからは、木々の香りが漂ってくる。誠也は15脚のベンチの一つに腰掛けた。頑丈な木の感触が背中をしっかりと支え、自然の中での安らぎを感じさせた。目を閉じれば、風の音、遠くの水の流れる音が耳に心地よい。

そして最後に、ロッキングチェアに体を預ける。このエリアは特に人気があり、たった5脚の席が貴重な存在だ。彼はゆっくりと前後に揺れながら、サウナで高まった体温を徐々に下げていく。このリズミカルな動きが、さらにリラックス効果を高めていた。

外気浴はただ外の空気に触れるだけではない。誠也はこの瞬間を、身体だけでなく精神もサウナの熱から解き放つ時間と捉えていた。サウナの極みを知る者にとって、この外気浴スペースは、内に秘めた熱い情熱を静かに冷ますための、もう一つの聖域なのだ。

リクライニングチェアでの一息、木製ベンチでの自然との対話、ロッキングチェアでの穏やかな揺り戻し。これら全てが合わさって、誠也のサウナ体験は完結する。彼にとって、サウナはただの汗を流す場所ではない。それは生活の一部であり、彼自身を形作る大切な時間なのだった。

お風呂

外気浴で深いリラクゼーションを得た大塚誠也は、次に「露天風呂」へと足を進めた。開放的な空間に一歩踏み入れると、目には緑に囲まれた岩が配置された湯船が広がっていた。水面からは湯気が立ち上り、自然の美しさと相まって、都会の喧騒を忘れさせるような雰囲気を漂わせていた。彼はゆっくりと体を沈めると、都心で感じることのない静寂と平和が心を満たした。

次いで「ジェットバス」に身を委ねた。力強い水流が筋肉の疲れを癒す。絶え間ない水圧のマッサージは、さながら専門家の手技のように、疲労を根本から解きほぐしてくれる。サウナで熱された身体が、じわりと芯から温まり直し、活力を取り戻していくのを感じた。

「薬草風呂」に浸かりながら、誠也は目を閉じる。浮かんでくるは、その季節ごとに変わる薬草の香り。リラックス効果は絶大で、体だけでなく心まで洗われていくような感覚に陥った。温もりに包まれた湯船は、彼の日常の疲れを優しく抱きしめ、静かに流していった。

最後に「炭酸風呂」に身を沈めると、無数の小さな泡が体を包み込む。その泡は皮膚を優しく刺激し、血行を促進させる。炭酸のチクチクとした心地よさが全身を通じて、まるで体内から活力が湧き上がってくるようだった。浴後の肌のつややかさを見て、美肌効果も実感する。

サウナと水風呂を繰り返した後のお風呂は、誠也にとって至福の時間だった。露天風呂で感じる自然、ジェットバスで得る心地よい疲労感の解消、薬草風呂での心の浄化、そして炭酸風呂での新たな活力。それぞれの風呂がもたらす特色と効果をフルに活かし、彼は日々の生活に必要なバランスを取り戻していった。このひとときが、忙しい日々を送るサラリーマンにとっての、小さな逃避であり、リセットの瞬間だった。

レストランでの食事

湯冷めを防ぎながらリラックスの余韻に浸る誠也は、施設内のレストランへと足を運んだ。木の温もりを感じる内装の中、彼は窓際のテーブルに腰を下ろす。窓の外には東京のビル群が遠くに見え、ここだけ時間がゆったりと流れているような錯覚に陥る。

まずは水分補給だ。彼はメニューの中から、自分好みのスポーツドリンクを選んだ。グラスに注がれたそれは、太陽の光を浴びてキラキラと輝くオレンジ色。一口含むと、冷たくフルーティな味わいが口の中で弾け、サウナで失った水分と電解質を迅速に補給してくれる。この一杯が、体が求めていた完璧な復活の一歩だった。

食事は、サウナ後の身体を想定した特別メニューから選ぶ。彼が選んだのは、サーモンとアボカドのサラダに、鶏胸肉のグリルが添えられたもの。カラダを内側から温める生姜ドレッシングが特徴だ。彼は、新鮮な野菜とオメガ3脂肪酸豊富なサーモン、そして低脂肪でタンパク質を補える鶏胸肉の組み合わせを堪能する。サウナで高まった代謝とともに、この健康的な食事が体の細胞一つ一つを喜ばせる。

食事をしながら、彼は自然と周囲を見渡す。同じくリラックスを求めて集う人々の穏やかな表情が、この場の心地よさを物語っている。誠也は深い満足感に包まれながら、食後のホットコーヒーを注文した。コーヒーの香りが彼の感覚を再び研ぎ澄ます。この時の静かな余韻が、彼の日常に新たな活力を与えるのだった。

サウナという極限のリラックスを経て、こうして彼は再び日々の営みに戻っていく。食事を終え、レストランを出るとき、大塚誠也は新たな決意とともに次の一週間を迎える準備ができていた。

その他のエリア

食事を終えた誠也は、まだ施設を去る気になれなかった。彼は身体の中から湧き上がる安堵感に任せ、深いリラクゼーションの続きを求めて施設内をさまよう。通りかかったマッサージルームからは、安らぐアロマの香りが漂ってきたが、今の彼はただ静かに時を過ごすことを望んだ。

彼は読書スペースに足を運ぶ。壁一面の本棚には、健康、癒し、哲学に関する書籍が並び、サウナ愛好者たちの心の栄養となっていた。誠也はゆっくりと本の背表紙を眺めながら、一冊の詩集を手に取る。彼は隅の快適なアームチェアに身を沈め、ページをめくり始める。詩の一節一節が、サウナの熱と冷水のショックによって浄化された彼の心に深く響く。

時折、施設の中を行き交う人々の話し声が耳に入るが、それもまた遠い世界の雑音のようだ。誠也は詩の海に浸り、心をさらに遠くへと放てていった。彼はこの一瞬一瞬を大切にしたい、ここでの経験を一滴残らず自分のものにしたいと感じていた。

読書に疲れたら、彼は施設の中庭を歩き、そこにある小さな庭園を眺める。夜風が涼しく、月の光が水面に反射してきらめく中、大塚誠也は目を閉じ、深呼吸を繰り返す。都会のオアシスで、彼は自然の息吹を感じ、心のバランスを取り戻していく。

夕暮れ時には、施設内のカフェでアイスティーを一杯。彼は冷たい飲み物をゆっくりと味わいながら、この日一日のことを振り返る。彼にとって、サウナ施設はただ汗を流し、体を清める場所ではない。それは心を整え、生きる活力を取り戻す聖域なのだ。

夜が更け、施設を後にする時間が近づいてくると、誠也はふと感謝の気持ちに包まれる。ここで過ごしたひとときが、彼の日常に新たな光をもたらしてくれた。施設を出るとき、彼はもう一度深く息を吸い、新たな日々への準備ができていることを感じた。サウナで得た心の平穏が、これからの彼を支えていく。

総合評価

夜の帳が下り、街の灯りが煌々と輝く中、大塚誠也はサウナ施設の門をくぐり抜けた。彼の足取りは軽やかで、頬に触れる夜風が何とも心地よい。最寄りの駅に向かう道すがら、彼は今日一日のサウナでの経験を思い返す。

「星空の間」で星に手を伸ばしたような幻想的な体験、炎の間での圧倒的な熱さ、そして緑風の間の穏やかな熱気に囲まれながらのリラックスタイム。それぞれのサウナ室は独自の魅力にあふれ、体だけでなく心も深く洗われる感覚を彼に提供した。

水風呂は別世界のような冷たさがあり、澄水の池は透き通るような清涼感で、体の芯まで熱を忘れさせてくれた。特に寒泉の穴の激しい冷たさは、彼が思わず息を呑むほどで、その後の温かい薬草風呂でのゆったりとした温もりが、余計に心地よく感じられた。

外気浴スペースのロッキングチェアでのんびり過ごした時間は、都会生活の喧騒から逃れる貴重な瞬間だった。開放感あふれる露天風呂、心地よい刺激のジェットバス、そして炭酸風呂での皮膚がじんわりと温まる体験は、サウナ施設ならではの贅沢だ。

レストランでの食事も、思いがけず美味しく、スポーツドリンクでの水分補給は疲れた体にみずみずしい潤いを与えてくれた。食後のカフェでのアイスティー、読書スペースでの詩集との静かな対話は、彼にとって、日々の忙しなさから解放される稀有なひと時だった。

帰宅する電車の中で、彼は目を閉じて深く息を吸い込む。身体はすっかりリフレッシュされ、心は落ち着きを取り戻していた。今日訪れた施設は、確かに彼の期待を超えるものだった。すべての施設が細やかな配慮と優れたサービスで統治されており、都市の真ん中にあるとは思えないほどの静謐さと癒しを彼に提供してくれた。

「これぞサウナの極み」と誠也は心の中でつぶやく。評価するならば、五つ星を超える存在だ。彼は次の訪問を既に心待ちにしていた。

あとがき

大塚誠也

「リラクシーオアシス東京」という施設名の由来を聞いてみました！

「リラクシーオアシス東京」は、”Relaxation”（リラクゼーション）と”Oasis”（オアシス）、そしてその立地である”Tokyo”（東京）を組み合わせて名付けられました。

この名前は、日々の喧騒から離れてリラックスできる心地よい避難所、つまりオアシスを都市の中心に提供するというコンセプトを表しています。

サウナ施設が提供するリフレッシュとリラクゼーションの経験を、名前に込めたものです。

また、「リラクシー」という響きは、リラックスをしてほしいという施設側の願いを軽快かつ親しみやすい響きで表現しています。

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大塚 誠也

OTSUKA SEIYA

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仕事帰りにサウナを巡るのが日課のアラサーリーマン。
ととのった後のサ飯が一番の至福。