【恵比寿】東京のど真ん中で感じる鹿児島の風「サウナ桜島」

サウナ好きの大塚は、華金の夜に恵比寿にある都会のオアシス「サウナ桜島」へ。

炎舞で踊り、星影の下で癒され、天然温泉に浸かり、極上の食事で満たされた至福の一日。

都心の恵比寿にありながら「桜島」とはいったいどんなサウナなのか…？

この小説の登場人物

名前 / Name 　
大塚 誠也 Otsuka Seiya　　
自己紹介 / Profile
仕事おわりにサウナに通うのが日課の30歳のサラリーマン。
お酒よりも入浴後のサウナドリンクとサ飯が大好物。

ととのい日記

春の訪れを告げるような穏やかな陽気の中、サラリーマン大塚誠也は週末の恒例となっていたサウナ訪問のために、ひときわ活気を帯びる東京の街を歩いていた。

彼の目指すは「サウナ桜島」――名前からして既に日常の喧騒から切り離された世界を予感させる施設だ。

JR山手線の恵比寿駅を降り立ち、人波をすり抜けながら10分ほど歩くと、都心にありながらもどこか古き良き時代を感じさせる佇まいの建物が視界に飛び込んできた。

東京の中心にしてオアシス。

現代の建築と自然が見事に調和したその外観は、誠也の心をすでにリラックスモードへと誘う。

正面には「サウナ桜島」と書かれた緩やかな曲線の看板があり、その下には小さな桜の木が植えられ、都会の片隅でひっそりと花を咲かせていた。

入店・料金プラン

ガラス張りのドアを開けると、ほのかに漂う木の香りが誠也の鼻腔をくすぐった。エントランスは暖かみのある間接照明で照らされ、壁一面には竹林の写真が展示されていた。足元には小石が敷き詰められた小道が続き、まるで実際の自然を歩いているような錯覚に陥った。

「いらっしゃいませ、サウナ桜島へようこそ。」受付の女性が穏やかな笑顔で迎えると、彼女はパンフレットを手渡しながら料金プランを説明し始めた。「スタンダードプランは3時間のご利用で2500円、延長は1時間ごとに500円追加となります。もう少しゆっくりされたい場合は、デラックスプランが5時間で4000円です。夜通しのご利用はナイトパックで3000円となっており、朝までのご滞在が可能ですよ。」

誠也は頷きながらプランを検討した。土曜の夜だ。今日はじっくりと時間を忘れサウナを楽しみたい。彼は迷わずナイトパックを選択した。「ナイトパックでお願いします。」彼の言葉に受付の女性は「かしこまりました。こちらのバンドを手首に付けてください。施設内のロッカーキーとしても機能し、延長される際にはこちらでお手続きいただけます。」と、黒と金色でシックなデザインのバンドを手渡した。

料金を支払い、受付の隣にある自動ゲートを通ると、すぐに更衣室があった。木の温もりを感じさせるロッカー、清潔感溢れる内装。更衣室からはさざめく声や水の音が微かに聞こえてきて、誠也の期待は高まるばかりだった。今夜は、サウナ桜島で、心身ともに汗を流し、リフレッシュするのだ。

サウナ室

更衣室を出た誠也は、足を運んだ最初のサウナ室「炎舞（えんぶ）」のドアを押し開けた。熱波が彼の顔を包み、深い呼吸と共に90℃の乾燥した熱気が肺の奥まで染み渡る。壁の一面には鮮やかな火の絵があり、その前に座れば本当に炎の中にいるような錯覚に陥る。エネルギッシュなBGMが静かに流れ、それはまるでサウナの中での汗ばんだダンスのリズムのようだ。ロウリュが始まると、水蒸気が熱波をさらに強くし、誠也の体は瞬時に汗で覆われた。

しばしの後、彼は第二のサウナ室「雪華（せっか）」へと足を運ぶ。ここは温度60℃、湿度40%の優しい熱さ。壁面を覆う大型スクリーンには雪が舞い降りる風景が映し出されており、それはまるで冬の静けさを再現しているかのよう。スクリーンからは微かに涼しげな光が放たれ、サウナ室内に穏やかな白銀の世界を創り出していた。座りながら目を閉じれば、涼やかな風を感じるかのような錯覚に陥り、体はゆっくりと熱を放出していった。

最後に「竹林（ちくりん）」と名付けられた室内には、天井から床まで竹が描かれ、柔らかな緑の光が満ちていた。80℃の穏やかな温度と30%の湿度は、身体を芯から温めながらも心地よい汗を誘う。そこに流れるBGMは鳥の鳴き声や水の流れる音、まるで本当に竹林の中にいるかのような錯覚をおぼえさせる。竹林を思わせるサウナ室で、誠也は日常の喧騒を忘れ、自然の中でリラックスする穏やかな時間を過ごした。

熱い「炎舞」、穏やかな「雪華」、そして自然を感じる「竹林」と、三つのサウナ室はそれぞれ異なる世界を提供し、誠也の心と体はこれ以上ない癒しを得ていた。

水風呂

サウナの熱から解放された大塚誠也は、汗で光る身体を冷ますべく、水風呂「極寒（きょっかん）」へと向かった。冷たさを予感させるその名前に、一瞬身構えながらも、彼は一歩一歩を踏みしめるように水辺まで進んだ。そして、躊躇することなく深さ1.2メートルの静かな水面に身を委ねる。

水温は12℃。その刺激的な冷たさが、サウナで火照った彼の肌に瞬く間に浸透していった。息を呑むような清涼感が全身を駆け巡り、活力を与える。バイブラが作り出す細かな泡が肌を撫で、熱を穏やかに奪い去る。この極寒の水風呂で、彼は熱をも燃え尽きさせる極みの清涼感を体験していた。

次に訪れた「星影（ほしかげ）」では、水温18℃のやや穏やかな水深1メートルの水風呂にゆっくりと浸かりながら、誠也は上を見上げた。そこには天井一面に広がる星空が輝いていた。星空プロジェクターによって作られた幻想的な光景が、彼の心を穏やかに包み込む。星の光が水面に映り、ちらちらと輝く星々が水中にも無数に舞っているように見える。この水風呂は、ただ体を冷ますだけでなく、都会の喧騒を忘れさせるような静寂と安らぎを提供してくれた。

極寒の刺激と星影の安らぎ。両極端な水風呂の体験は、誠也の心身に深いリラクゼーションをもたらし、サウナとの絶妙なコントラストが、更なる快感へと導いていった。サウナの楽しみ方を知り尽くした彼にとって、この水風呂の時間は、至福のひとときだった。

外気浴スペース

水風呂からの脱出後、大塚誠也は体内に満ちた清涼感を保ちつつ、外気浴スペースへと足を運んだ。彼が選んだのは、そこに並ぶ10脚のリクライニングチェアの一つ。重力から解放されるように身を預けると、座面が彼の体重に柔らかに反応して、完璧な角度へと調整された。

目を閉じると、都会のざわめきが遠のき、耳を澄ませば風が運ぶ自然の音色が聴こえてくる。彼の呼吸は徐々に深くなり、サウナの熱と水風呂の冷たさが、ここ外気浴スペースで見事なハーモニーを奏でていた。

少し離れたところでは、15脚のデッキチェアが日光を浴びる空間を提供していた。それぞれのチェアにはゆったりとした間隔が取られており、プライバシーを重視した静けさが漂っている。誠也は自分の選択に満足しつつも、次回は日光を浴びながらの外気浴を楽しむことを心に決めた。

彼の視線がさらにスペースを彷徨うと、和風の座椅子が8脚、静かにその場を占めているのが目に留まった。和の精神が息づくそのスペースは、まるで日本の伝統的な庭園の一角を模しているかのよう。座椅子に腰掛けると、日本人としてのアイデンティティに触れることができそうな落ち着きを誠也は感じ取った。

彼はリクライニングチェアに身を任せながら、自分が求めるサウナの後の理想的な休息を見つけたと実感していた。微かにそよぐ風、木々の間を縫うように揺れる光、そして、都会の喧騒を忘れさせる穏やかな時間が、誠也をより深いリラクゼーションへといざなっていく。サウナと水風呂の繰り返しで得た内なる熱を、外気浴スペースでじっくりと冷ますことが、彼にとっての新たな日課となりそうだった。

お風呂

外気浴で体を冷まし、五感を研ぎ澄ました大塚誠也は、次なる癒しの空間、お風呂へと足を進めた。まず目を引いたのは、東京の奥座敷から引いたという天然温泉。その湯船に浸かると、彼は旅行に来たかのような錯覚に陥った。都会の真ん中とは思えないほどの静けさと、肌を優しく包む温泉の柔らかな感触。微かに立ち込める硫黄の香りが、日々の疲れを解きほぐしていく。

次に誠也が試したのはジャグジー。水面下からの無数のバブルが肌を刺激し、その心地よい圧力に彼は深いため息をついた。まるで無数の小さな指が体をもみほぐしているような感覚。仕事で固くなった筋肉が、泡のリズムに合わせて緩んでいくのを感じながら、彼は目を閉じ、至福の時を過ごした。

そして、最後に彼が選んだのは薬湯。お湯に浮かぶ薬草の葉と、それを抜ける温かい蒸気が芳醇な香りを放っていた。その香りに誘われるように湯船に浸かると、すぐにその効能を体全体で感じ始めた。薬湯から立ち上るハーブのアロマが、誠也の心を解き放ち、精神的なストレスまでもが溶け出していくようだった。

湯船を渡り歩きながら、誠也は自分がいかに日頃のストレスに晒されているかを痛感した。サウナでの発汗、水風呂での冷却、そしてこのお風呂での温浴。それぞれが彼の体と心に働きかけ、回復へと導いていた。彼はこの連なる体験に、日々の忙しない生活の中で失われがちな「自分と向き合う時間」を見出していた。サウナ施設はただのリラクゼーションの場ではなく、彼にとって自己再生の聖地であることを、誠也は改めて確認するのだった。

レストランでの食事

サウナと入浴で心身共に温まり、すっかりリラックスした大塚誠也は、次に向かったのは施設内のレストランだった。サウナ後の空腹は格別で、彼は早くもメニューに目を通していた。だがその前に、水分補給を怠ってはならない。誠也はカウンターで見つけた水色のスポーツドリンクを手に取る。冷えたペットボトルを握ると、冷たさが手のひらから伝わってきた。

彼はキャップを開け、一口含むと、スポーツドリンク特有の甘みと酸味が舌の上で踊った。冷たい液体がのどを通り過ぎる感覚は、まるでサウナの熱から解放されたような快感で、彼は深い満足感に包まれる。体内に染みわたる水分が、汗と共に失われたミネラルを補充していくのを実感した。

スポーツドリンクを片手に、彼はレストランの席についた。周りは既にサウナで新たなエネルギーを得た人々で溢れていた。レストランの内装は木の温もりを感じさせる落ち着いたデザインで、どこか家庭のダイニングを思わせる温かみがあった。

彼がメニューをめくり、今日の選択を決める。サウナで感じた疲労を癒やし、さらに土地の味も楽しむため、鹿児島県の名物料理「黒豚しゃぶしゃぶ」を注文する。料理が運ばれてきた時、その見た目の豪華さに大塚は思わず息を呑んだ。丁寧にスライスされた黒豚の肉は、その上質さを色濃く表している。薄く切られた肉片を彼は熱い出汁にくぐらせる。瞬く間に色が変わり、旨みが凝縮された黒豚は、口に運ぶとすぐに溶けてしまった。

蒸籠に入った新鮮な野菜たちは、カラフルで目にも美しく、シャキシャキとした食感が心地よい。特製のゴマだれに肉を潜らせると、芳ばしい香りが鼻をくすぐり、味わい深い旨みが口の中で広がる。食事を進めるうちに、大塚はこの日一日の疲れが、まるで湯気とともに飛んでいくようだと感じた。

食後には、温かい緑茶が供された。その緑茶の渋みが、豊かな食事を締めくくり、心を落ち着けてくれる。こうして、東京の中心にありながら、一時の隔離された空間で鹿児島の味を堪能した大塚は、心も体も満たされた満足感を噛みしめながら、レストランを後にした。

その他のエリア

食事を終えた大塚誠也は、満腹感と共にふわりとした幸福感に包まれていた。彼はレストランを後にし、施設内をゆっくりと歩いて回ることにした。消化を促すための軽い運動も兼ねて、彼は施設の様々な角を探索し始めた。

誠也がまず向かったのはラウンジエリアだ。ここにはゆったりとしたソファが配置され、柔らかな照明が居心地の良さを演出していた。彼は一隅のソファに腰掛け、壁に掛かる絵画を眺めながら、今日のサウナ体験を内省的に振り返った。ソファから立ち上る体の線を、心地よい疲れと共に感じながら、彼は閉じた目を通じて今日感じた温もりを再体験した。

次に彼が訪れたのは、施設内の図書コーナー。小さなライブラリーには、健康、ウェルネス、自己啓発などの本が並んでいる。誠也は手に取った一冊の本をパラパラとめくりながら、心の栄養もまた大切だと思いを巡らせた。読書は彼のもう一つの逃避場であり、今この瞬間も彼に新たな視野を開いてくれた。

施設内を歩く足取りは重たく、それでいて心地良い。誠也は最後に、庭園を眺めるために窓際のベンチに腰を下ろした。外はすっかり暗くなり、庭園の灯りが幻想的な雰囲気を演出していた。彼は手にしたハーブティーを一口啜りながら、外の風景に心を寄せた。静かに時が流れる中、彼の心は穏やかなリズムで打ち続けていた。

この施設はただのサウナ施設ではない。大塚誠也にとって、ここは日々の喧騒を忘れ、自己と向き合い、リフレッシュするための聖域だった。施設内で過ごす時間は、彼にとって貴重なリチャージの瞬間。そして今夜も、彼はこの場所で新たな活力を得て、また一週間を生き抜く力を充電していた。

総合評価

誠也は、施設の門をくぐり抜け、帰宅の途についた。朝焼けに照らされながら、彼はゆっくりと歩を進める。足元のアスファルトが響く音が、彼の心地よい疲労感と共鳴するようだった。歩きながら、彼は今日一日を振り返り始めた。

「今日のサウナはなんというか、全てが完璧に調和していたな。」彼は思わず呟いた。その言葉には、深い満足と感謝の念が込められていた。施設は清潔で、サウナ室の熱さは体の芯から彼を浄化してくれた。水風呂の刺激的な冷たさ、そして星空のように輝く水面は、疲れた身体を甦らせるのに十分すぎるほどだった。外気浴スペースでの微風は、焼けた肌を優しく撫で、彼の心を穏やかにさせた。

お風呂の種類も豊富で、特に東京の奥座敷から引いたという天然温泉は、都会の喧騒を忘れさせる貴重な存在だった。ジャグジーのバブルは身体をマッサージし、薬湯の芳醇な香りは五感を喜ばせてくれた。

レストランでの食事は彼の期待をはるかに超え、スポーツドリンクでの水分補給も絶妙な味わいで、今日の活動から失ったミネラルを補給してくれた。施設内での滞在は、ただのリラクゼーションだけではなく、心と身体の両方に対する深い癒しとなった。

「ここはただのサウナ施設じゃない。これはもう、体と心のリフレッシュステーションだ。」彼は自分自身に確信して言った。彼の総合評価は、疑う余地なく最高点だった。施設のスタッフの丁寧な対応、設備の細部にわたる気配り、そしてそれぞれのスペースが持つ独自の魅力が、誠也にとってはこの上ない贅沢な時間を与えてくれたのだ。

誠也は深く息を吸い込むと、心の中でそのサウナ施設に感謝した。都会の喧騒から離れ、ほんの数時間ではあったが、心身ともに洗われ、新たなエネルギーを得ることができた。帰宅する彼の足取りは軽やかで、次にこのサウナに訪れる日を既に心待ちにしていた。

あとがき

大塚誠也

「サウナ桜島」という施設名の由来を聞いてみました！

「サウナ桜島」という施設名には、心からの安らぎと豊かな自然のイメージを組み合わせた意味が込められています。恵比寿という都会の中心に位置しながら、訪れる人々に非日常を感じてもらいたいという願いからと名付けられました。

「桜島」という名前は、日本の代表的な活火山である鹿児島県の桜島から取られています。桜島は力強く、生命力に満ち溢れる自然の象徴です。この名前を東京のサウナ施設に用いることで、都市の喧騒から離れ、大自然の中でリフレッシュするかのような経験を都会の中で提供することをコンセプトにしています。

施設内部では、自然を感じさせるデザインや要素が取り入れられており、名前はそのような空間創りへの志向を反映しているのです。お客様がここに来れば、桜島のようにエネルギッシュでリフレッシュされた気分になれるという想いを込めて、「サウナ桜島」と名づけられました。

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大塚 誠也

OTSUKA SEIYA

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仕事帰りにサウナを巡るのが日課のアラサーリーマン。
ととのった後のサ飯が一番の至福。